ピロリ菌検査と除菌治療

ピロリ菌について

ピロリ菌について

ピロリ菌は胃の中に住みついて、胃炎を起こす原因になる細菌です。 1994年、世界保険機構(WHO)は、ピロリ菌を発がん物質として認定しました。 日本人の約半数がピロリ菌に感染しており、年齢と共に感染率は高くなっています。 除菌により胃がんの発生率が1/3に抑制されるとされています。

ピロリ菌の感染経路

ピロリ菌の感染経路

ピロリ菌は口から入って胃に感染する経口感染が原因であると考えられていますが、感染経路はまだ完全にはわかっていません。衛生環境が悪い地域は感染率が高いのですが、成人後にそうした地域に住んでも感染することはほとんどありません。このことから、免疫力や胃酸の力がまだ弱い幼少期に感染が起こるとされています。ピロリ菌は感染してしまうと菌が自然になくなることはほとんどありません。菌をなくすためには除菌治療が必要です。 衛生状態が良い日本では20歳代のピロリ菌感染者数は減っていますが、40歳以上の感染率は先進国として例外的に高くなっています。これは、口移しなどによるヒトからヒトへの感染によって感染が起こることを示唆していると考えられています。そのため、子どもを持つ前に家族が除菌治療をしておくことで次世代への感染防止にもつながります。

ピロリ菌検査について

ピロリ菌検査について

胃がんの最も大きな要因であるピロリ菌の感染の有無は、容易に判断できます。 保険診療でピロリ菌の感染診断や除菌治療を行う場合には、胃カメラで胃炎の診断が必要となります。 検査の方法は、採血・呼気テスト・胃カメラでの粘膜採取・検便・ウレアーゼテストなど様々ですが、負担の少ない確実な検査を提案します。 胃がんを予防したい、胃に違和感を感じるなどのご心配がある方は、お気軽にお問い合わせください。

胃カメラはしたくない方(保険適応条件)

ピロリ菌の検査や除菌は、胃カメラ(胃内視鏡検査)で胃潰瘍、十二指腸潰瘍や慢性胃炎を認めた場合にのみ保険診療が適応となります。

胃カメラなしでは保険診療でのピロリ菌検査や治療はできません。

多くの方のご要望を受け、当院では保険適応とならない型を対象に、自費診療によるピロリ菌検査・除菌を行っております。

検査の種類

迅速ウレアーゼ法

ピロリ菌はウレアーゼという酵素を作り出しています。内視鏡検査時に組織を採取して、ウレアーゼの有無を調べるのがこの検査です。ウレアーゼは尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解するため、アンモニアに反応する試薬を使って検査します。

採取した胃粘膜を顕微鏡で観察してピロリ菌の有無を確認する検査を併用することもあります。

 抗体検査

ピロリ菌に感染すると体内には抗体ができます。尿や血液を採取して、この抗体の有無を調べます。

 便中抗原検査

便を採取して、ピロリ菌の構成成分である抗原の有無を調べます。

尿素呼気試験

検査薬を内服する前後の呼気(吐く息)を採取する検査です。信頼性の高い結果を得られ、患者様の負担も少なく、結果も30分程度でわかるため、主に除菌後の判定検査に用いられます。

ピロリ菌の除菌

ピロリ菌の除菌

抗菌薬2種類とその効果を高める胃酸分泌抑制剤を1週間服用します。服用後、しばらく期間をおかないと正確な検査ができないため、服用後6〜8週間が過ぎてから判定検査を行います。除菌に失敗したい場合は、抗菌薬1種類を変更した2次除菌を行います。

1次除菌・2次除菌

2種類の抗菌薬と、胃酸の分泌を抑える薬を、朝・晩2回、7日間服用します。判定検査で除菌成功となれば治療はそこで終了します。除菌に失敗した場合には、抗菌薬を1種類変更して後は同じ内容の2次除菌を行い、判定検査を行います。1次除菌と2次除菌を合わせた成功率は9割を超えています。

除菌治療薬の副作用

服用終了後にはほとんどが治まる副作用として、肝機能の(AST(GOT)、ALT(GPT))値の変動、軟便、下痢、味覚異常などが報告されています。症状が気になる場合にはすぐにご相談ください。

発疹やかゆみなどのアレルギー反応が起こった場合には、すぐに服用を中止してご連絡ください。

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